「人と地球がよろこぶ住まい」を提供し続けるエコ・ファースト企業 ~サンヨーホームズに聞くZEH化推進の原動力~

2022.7.20 掲載

“いまさらじゃなく、いま、さらにエコ。”のCMでもおなじみのサンヨーホームズグループ。戸建住宅や賃貸集合住宅のZEH標準化、住宅ストックの耐震・断熱性能の向上や既存住宅流通の仕組みづくりなど各事業において様々な環境負荷低減へのチャレンジを続け、今年2月10日には環境省が企業の活動を推進する「エコ・ファースト制度」において、「エコ・ファースト企業」として認定された。

まさに“いま、さらにエコ。”の取り組みを続けるサンヨーホームズ株式会社の建築開発統括部 部長 井上貴史氏に「エコ・ファースト企業」に対する想いや環境問題への取り組みについてインタビューした。

サンヨーホームズ株式会社 建築開発統括部 部長 井上貴史 氏

サンヨーホームズ株式会社 建築開発統括部 部長 井上貴史 氏

ZEH化の目標を4年前倒しで達成

――「エコ・ファースト企業」の認定を目指した理由を教えてください。

井上:サンヨーホームズグループは企業理念に「人と地球がよろこぶ住まい」を掲げ住宅というステージで環境保全に対する取り組みを行ってまいりました。私たちにとっては、環境や社会問題の解決が何よりも大切で、その中間地点として環境大臣が認定する「エコ・ファースト企業」となることでさらに目標に向かって走れると考えました。自己の評価だけではなく、素晴らしいお墨付きを得ることで自信を持ってお客様に住まいを提供できるからです。その意味で念願が叶い、嬉しく思っています。

――エコ・ファースト企業認定を機に2030年を見据えた住まいづくりとして、戸建住宅において従来からZEHの水準を上回る基準を標準化されました。そこにはどのような想いがあったのでしょうか。

井上:ZEHの標準化は戸建住宅に留まらず、賃貸住宅も実施していました。国では、今年の10月に日本住宅性能表示制度が改正・施行されますが、そこでは新たな断熱性能の等級や一次エネルギーの消費量を削減する数値を定めています。それに先立ってサンヨーホームズでは、2022年4月にZEH水準である等級5をさらに上回る等級6相当の性能を標準化しました。これは軽量鉄骨住宅においてはトップクラスの性能※となっています。その背景にはZEH化の目標を4年前倒しで達成できたという自負がありました。政府も水準をより高く上げていくことは予測できていましたので、より速やかにお客様に提供したいという想いから、それを上回る基準を設定し、標準化しました。

※サンヨーホームズ株式会社調べ( 2022年4月時点、軽量鉄骨プレハブ住宅メーカーにおいて)

ZEH  M 外観

ZEH M 外観

快適かつ環境保全に役立つ住まい

――新築戸建住宅ZEH化率2025年度達成目標85%を、2021年度に4年前倒しで93%達成できた要因はどこにあるとお考えでしょうか。

井上:鉄骨住宅は、一般的に地震には強いが断熱性能は木造住宅に劣るというイメージを持たれているようです。しかし、サンヨーホームズに関しては、様々な技術と今まで培ってきた経験を活かして地震にも強く、断熱性能が高い家を建てることができています。住宅の断熱性能をあらわす値にUA値(外皮平均熱貫流率)があり、この値は小さいほうが断熱性能は良いことになりますが、通常のZEHの基準は0.6です。しかし、当社は0.5に定めています。これを達成することは容易ではありませんでした。もちろん壁を厚くしたり、サッシの性能を高めたりすれば不可能ではありません。しかし、そうするとコストが上がります。そうならないためにこれまで培ってきたノウハウを注ぎこみ、コストアップを抑えながらも、断熱性能を高めることに成功しました。これがZEH化を加速できた要因の一つだと捉えています。

井上:また電力の自給に対しても注力しました。電気料金も値上がりが続き、計画停電についても現実味を帯びてきています。当社のZEHでは断熱性の向上で一次エネルギーの消費を少なくし、さらに電力が自給できる家を目指しました。太陽光パネルは当然ですが、蓄電池の設置や電気自動車(EV)に蓄えた電力を家庭内でも使えるようにする仕組みであるV2Hも含めて、お客様の快適な暮らしにあわせて環境保全にも役に立つ住宅の提供を今後も力を入れていきたいと考えています。

「エコ・ファースト企業」の認定で広がる意識啓発

――ZEHの推進に対する顧客の理解はいかがだったでしょうか。

井上:お客様にZEHの住まいの価値を理解していただけるようになるまでは時間が掛かりました。やはりコスト面で購入を迷う方が多かったのです。しかし、少しずつ社会全体が環境に対する意識が変わり、ZEHの価値についても浸透していく中で当社の取り組みがようやく認知されてきました。また様々なメディアで取り上げていただくことで後押しとなったと感謝しています。

――エコ・ファーストの約束では、社外または従業員に対する環境意識の啓発も掲げています。今、どのようなことに取り組んでいらっしゃいますか。

井上:今回の認定で環境保全や社会課題の解決に携わっているという再認識と確信を持てるようになったと思います。またエコ・ファースト企業として認定され、名刺にもその名が印字できるようになり、取引先のスタッフの皆さんからも「エコ・ファーストって何ですか?」という質問もいただき、そこから会話が生まれ、環境意識の啓発につながっています。さらに小学生以下の子どもたちに環境に優しい家の姿を自由に描いてもらう「子どもECO絵画コンクール」を毎年開催し、今年で第19回を数え次世代に環境問題への関心を持ってもらえる良いきっかけになっていると思います。

ZEH100%を目指し、さらに取り組みを加速

――2050年までに温室効果ガスの排出量を実質0「ゼロ」を目指し、今、重点を置かれていることは何でしょうか。

井上:ZEH93%を達成しましたので今は100%を目指しています。賃貸住宅や介護・福祉施設などにも携わらせていただいているのですが、そこにも太陽光パネルの設置を進め、環境負荷低減を加速していきたいと考えています。

井上:住まいは、人が暮らしを営む上で欠かせない空間です。そこが快適かつ環境に優しい場所であることの意味はとても大きいと捉えていますし、サンヨーホームズグループが担う使命も重いと自覚しています。脱炭素社会に向けて人々の環境への意識が変わってきたことにより、当社のスローガンである「人と地球がよろこぶ住まい」は、年月を重ねるごとに、ようやく共感が広がってきました。また今回、エコ・ファースト企業に認定されることでその意義も強まったように思います。今後もこの理念の実現のためにさらに走り抜いてまいります。