地球環境を守りながら、情報革命で人々を幸せに ~「エコ・ファースト企業」としてカーボンニュートラルの達成に取り組むソフトバンク~

2022.7.27 掲載

今年の2月に環境省の「エコ・ファースト制度」において環境大臣から「エコ・ファースト企業」に認定されたソフトバンク株式会社。同社は以前より携帯電話端末のリサイクルや植物由来原料が80%配合された素材のショッピングバッグへの順次切り替え、全国の携帯電話基地局(以下、基地局)で使用する電力の段階的な再生可能エネルギーへのシフトなどを推進してきた。その中で注目したいのが2021年5月に宣言し、「エコ・ファーストの約束」にも掲げている「カーボンニュートラル2030」だ。そこで2030年度までに事業活動による温室効果ガスの排出ゼロを目指す、この取り組みに携わるコーポレート統括CSR本部 CSR推進部 部長 箕輪憲良 氏にインタビューした。

SDGsと歩調を合わせ、
2030年までにCO2排出をゼロに

――「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」を行うことを「エコ・ファーストの約束」として宣言し、それを環境大臣が認定する制度が「エコ・ファースト制度」ですが、ソフトバンクが約束の1番に掲げているのが「カーボンニュートラル2030宣言」。そこでは国や多くの企業が2050年をゴールとする中、あえて2030年に目標を定めています。その理由は何でしょうか。

箕輪:政府が目標として宣言した2050年よりかなり前倒しする形でスコープ1.2におけるカーボンニュートラルの達成にコミットしています。その理由はSDGsという全世界が目指す社会課題の解決に合わせて、人類に貢献したいと考えたからです。そのために達成期限も同じ2030年にしています。

箕輪:弊社の従業員はグループ全体で約5万人になりました。しかし、どのように人数が増えても「情報革命で人々を幸せに」という企業理念に込められた想いで一つにまとまっています。そして「人々を幸せにする」ことと「社会課題の解決」はほぼ同じと考えています。その意味でこのコミットも「人々を幸せにしていくために何が必要か」という議論を重ねる中で生まれました。今、2030年を目指し、あらためて全社一丸となってカーボンニュートラルの達成に取り組んでいきたいと思っています。

基地局

基地局

基地局の電力を
すべて再生可能エネルギーに

――「カーボンニュートラル2030宣言」では、基地局で使用する電力の再生可能エネルギー化について記載されています。なぜ、ここに着手したのでしょうか。また、その課題はどのようなものがあるでしょうか。

箕輪:厳しく捉えれば弊社がカーボンニュートラルを達成したとしても地球温暖化を止めることはできません。しかしお客様に何らかのインパクトを与えることができれば、未来に希望をつなぐことができます。弊社がお客様と接点を持つのは何よりもスマートフォンです。そこで同じカーボンニュートラルに取り組むなら、このスマートフォンに可能な限り近い場所からスタートしようと考え、まず基地局から着手しました。基地局で使用する電力量は弊社が使用する総電力量の半分以上を占めており、これを再生可能エネルギーに変える意義は大きいと考えます。そのために1年ごとに具体的に数値目標を定めて取り組んできました。一昨年度は基地局全体の30%、昨年度は50%、そして本年度は70%の電力を再エネ化し、一段一段ステップアップすることで2030年には事業で使用する電力100%の実質再エネ化を達成していく予定です。

箕輪:懸念されている電力供給についても問題ありません。各地域の電力会社との連携はもちろん、電力に関する事業を行う100%連結の子会社を有しており、戦略的に実質再エネ化を進めています。ただし、災害時に電力の供給が遮断され、そこから通信が途絶えてしまうというリスクは抱えており、それが課題となっています。気候変動による大規模な災害、特に水害が非常に猛威をふるっているため、我々の部署でも継続してリスク分析を行っています。

基地局の被災リスクと
CO2排出を劇的に減らす「HAPS」

――成層圏を飛行する無人航空機「Sunglider」を開発して上空から通信ネットワークを提供する「HAPS(High Altitude Platform Station)」というシステムが、「カーボンニュートラル2030宣言」に紹介されています。このシステムは今後、どのような点で環境負荷軽減につながっていくでしょうか。

箕輪:何より、今、申し上げた基地局の被災リスクを回避するために役立つのが「HAPS」です。基本的に飛行している成層圏は、雨も降りませんし、気流も緩やかで天候に関係なく電波を供給できます。基地局のアンテナは、なるべく高い場所に設置することでカバーできるエリアを広げられますが、この原則に沿えば「HAPS」は最も高い位置にあり、40機程を日本の上空に飛ばせば富士山頂を含め、日本中をカバーできることになります。また、「HAPS」はソーラーエネルギーで動くため、CO2を大きく発生させるものではありません。つまり圧倒的に省エネであり、圧倒的にクリーンです。現在、法的な整備も含めて着々と準備を進めており、2027年には赤道近くの国や地域で実用化を目指します。この地球から「圏外」がなくなる日もそう遠くはないと思っています。

無人航空機「Sunglider」

無人航空機「Sunglider」

軽量かつ高容量で密度の高い
リチウム金属電池の実証に成功

箕輪:その実現に大きく貢献しているのが従来の電池比で約2倍以上(520Wh/kg級)となる、軽量かつ高容量で密度の高いリチウム金属電池です。「HAPS」は飛行機であるため、それに相応しい浮力を得なければなりませんが従来の蓄電池ですと重量があるため、飛行機には適していませんでした。しかし今回実証に成功したことで「HAPS」の実用化を加速できると考えています。

箕輪:この電池はHAPS以外にも空輸などに役に立つと考えています。たとえば実証実験が多くなされている物流用ドローンも飛行時間や荷物の重量が問題になっていますが、これらの解決に直結していくと思っています。

次世代電池

次世代電池

使用済の携帯電話を回収し、
レアメタルを活用

――「エコ・ファーストの約束」に掲げられたリサイクルやリユースの促進についても最新の話題を教えてください。

箕輪:では、携帯電話のリサイクルについてご紹介します。携帯電話の中にはレアメタルが含まれており、その採掘で多くのエネルギーを消費し、CO2を発生しています。しかし、皆様の家庭のクローゼットの奥に眠る使用済みの携帯電話を活用すれば、それらを抑えることが可能になります。そのためにソフトバンクでは全国で約3000のショップが対応し、ブランドやメーカー、新旧機種を問わず無償で回収できる体制を整えました。気になる電話機のデータについては窓口でお客様にきっちりご説明し、その場で回収したスマートフォンはデータ消去を徹底し、ガラケーは本体を「ケータイパンチ」で破壊することで安心していただいています。このリサイクルでは2020年から2025年までの6年間で1000万台を回収という目標を立て、2年目となる現在、既に500万台を突破いたしました。

――本日はありがとうございました。