グリーン購入ネットワークが第23回グリーン購入大賞授賞式を開催

2022.12.28 掲載

ここでは授賞式の際に行われた審査総評、来賓挨拶を紹介する。

〈審査総評〉

審査委員長 GPN 会長(東京大学大学院教授)
梅田 靖 氏

23回目となる今年度のグリーン購入大賞は、SDGsの目標達成に寄与する持続可能な消費と生産の取り組みに加え、「サプライヤーエンゲージメント特別部門」を設け、サプライチェーン全体での優れた取り組みを募集し、さらなる普及を図るとともに類似事例を生み出すべく、合計で11団体を表彰した。非常にバラエティに富んだ取り組みを表彰できたと自負している。

再エネ電力の調達では、自ら再エネ発電設備を設置・導入して再エネ電源を増やし、電動車や蓄電池等と組み合わせて蓄えた再エネ電力を有効利用したりする取り組みが特徴的だった。また区域全体で脱炭素に向けて地域の企業に再エネ導入を促す取り組みは他の地方自治体に参考になる事例となる。

資源循環では、リユース可能な容器で製品を提供する循環型リユースシステムやシェアリングを促すサービス、使用済み容器を回収し水平リサイクルを目指す取り組みや廃プラスチック資材を繰り返し利用する等、多様な取り組みを表彰した。2009年度に続き、「木になる紙」の取り組みでは、用紙のグリーン購入が森林保全に加えCO₂削減、雇用創出、環境教育、官民協働という多方面へ好影響をもたらすポテンシャルがあることが示された。

サプライヤーエンゲージメント特別部門では、ダイアログやワーキンググループ等によるサプライヤーへの働きかけを加えたり、顧客や同業他社へ展開したりしている事例もあった。

企業・地方自治体・団体の方々には、今年度のこれらの受賞事例の特徴を掴み、自らの取り組みに活かしていただきたいと思う。また本日受賞される皆様は表彰式で終わりではない。選択して成果に至るプロセスや関係者との連携等取り組みのエッセンスを伝播する役割を私たちGPNと担ってくださる役割ことをお願いして講評とさせていただく。

GPN 会長 梅田 靖 氏

GPN 会長 梅田 靖 氏

〈来賓挨拶〉

環境省 大臣官房審議官
小森 繁 氏

世界は気候変動という人類の生存危機に関わるものに直面している。またコロナ禍にあっては物価高騰などもあり、非常に難局となっている。このような中で我が国としても気候変動に対峙し、2050年のカーボン・ニュートラルを実現し、経済社会を様々な意味で持続可能なものにしていく新しい資本主義を目指し、GXを進めて環境と成長を好循環させるということが非常に大きな課題となっている。

このような世界の変革・日本社会の改革に向けて大きな動きとなっているのが2015年に国連が定めたSDGsとなる。SDGsの中には持続可能な消費・生産、すなわち社会における生産・消費・サービスの在り方について根本的な変革をしようということが目標となっている。持続可能―サステナブルディベルティメントという難しい言葉ですが私が1992年に当時の環境庁に入った年に地球サミットがというのがあった。その30年目となる今、皆様の表彰された事業の経過を見ますと非常に心強く、着実に世界で、日本で持続可能な取り組みがしっかりと前に進んでいる感じ、非常に感銘深く、取り組み内容などを拝見させていただいていた。

政策的には1992年のあと、1993年に環境基本法が制定され、ここには国による環境への負荷の軽減に資する製品等の利用促進が盛り込まれている。あるいは2000年にはグリーン購入法も制定されたが、実際に物品あるいはサービスにおいてクリーンで環境にやさしいものを実現していくためには市場が変わらなければいけない。このような中で本日23回目を迎えたグリーン購入大賞を主催するGPNは、大企業、中小企業、行政や民間団体などグリーン購入への多様な行動が日本の企業経営やライフスタイルの変化を促し、大変に大きな貢献をされてきた。

2050年のカーボン・ニュートラルの実現に向けて環境省としては地域・暮らしという視点から需要サイドで対策に取り組んでいくことが非常に大事だと思っている。まさにグリーン購入というものを通じて市場のすそ野が広がり、大きく変わっていくことになるのではないか。ますますグリーン購入の重要度が増し、環境問題の対応においては、積極的な企業を応援する声が高まっている。今回の受賞者の皆様のさらなる工夫で環境配慮型の製品やサービス、またサプライチェーンなど経営の在り方などを含めて新しいものを生み出し、普及していかれることと期待している。

環境省 大臣官房審議官 小森 繁 氏

環境省 大臣官房審議官 小森 繁 氏

〈来賓挨拶〉

経済産業省 産業技術環境局 審議官
木原晋一 氏

今回受賞された方々の取り組みは、地球環境に対してだけではなく、ビジネスとしても事業としても持続可能であることが大きなポイントであるし、素晴らしいプロジェクトだと思う。今後の展開を期待したい。経済産業省では循環経済へのトランスフォーメーションが不可欠と考えている。今後、成長志向型の資源自立経済の確立にむけて議論を行っているが、これを深め今年度中に戦略にまとめていきたい。今回Loop Japan様が経済産業大臣賞に選ばれた。この取り組みは容器リサイクルに新しい価値を創り出してビジネスとして持続可能なモデルを構築し、循環経済における成長機会を反映させた先進事例だと思っている。このような取り組みが次々に生まれていくような社会づくりを目指し、政府としても政策を進めてまいりたい。

経済産業省 産業技術環境局 審議官 木原 晋一 氏

経済産業省 産業技術環境局 審議官 木原 晋一 氏

〈来賓挨拶〉

農林水産省 大臣官房審議官
岩間 浩 氏

林水産省は2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定した。そこでは食料における環境負荷の軽減や持続可能性、そして、その生産の現場においても農薬や肥料などの環境負荷や化石燃料の使用を抑えていくことが非常に重要となっている。そのために、エネルギーの調達から加工・流通・消費までまさに全体的なシステムとして一体的に捉え、それぞれの取り組みを促していく仕組みを今、進め、それに関連する法律を2022年度中に施行し、本格的に動いていく予定となっている。まさにこうしたグリーン購入という環境負荷の軽減を評価し、正当に購入することが極めて重要になると考え、今後も応援していきたい。

農林水産省 大臣官房審議官 岩間 浩 氏

農林水産省 大臣官房審議官 岩間 浩 氏

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