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2050年カーボンニュートラルの実現に向けて グローバルリーダー・カンパニー CDPAリスト受賞企業が代表スピーチPart2

環境情報開示を推進する国際NGOのCDPは2021年1月14日、CDPAリスト企業アワードをオンラインで開催し、Aリスト入りした各企業の代表がスピーチを行った。その内容をPart1に続き、紹介する。

トリプルAリスト(気候変動・水セキュリティ・フォレスト)

花王ウェイをベースに3部門で様々な取り組みを推進

花王株式会社 代表取締役 社長執行役員 長谷部 佳宏氏
花王は2019年Kirei Lifestyle Planを策定し活動を推進している。また今年から中期経営計画K25をスタートさせた。一層ESGを経営の根幹に据え、事業の成長と社会の貢献を加速させている。それらの活動のベースになるのが花王の企業理念である「花王ウェイ」。この実践がESG活動そのものだと認識し、活動の強化を図っている
気候変動に対しては2018年に2030年までにCO2排出量22%削減の目標を設定し、その実現に向けて取り組んでいる。たとえば再生可能電力の利用を積極的に進め、2030年には購入電力をすべて再生可能エネルギーにすることを目指していく。また大気中のCO2を原料に変えるリバースイノベーションにもチャレンジしている。
フォレストに関しては「責任ある原材料調達」という取り組みテーマのもと農園までのトラッキングを目指して活動。パーム油に関しては持続可能なサプライチェーンの構築にむけてさらに一歩進めるためにインドネシアの小規模パーム農園で持続可能なパーム油に対する認証の取得を支援するプログラム「SMILE」などを進めている。
さらに水セキュリティでは日本の上水の15%程度が花王製品の使用だと考えられる。その視点に立ち、工場での徹底した節水はもちろんのこと、お客様の節水を進める商品を数多く提案している。

ダブルAリスト(気候変動・水セキュリティ)

ネガティブインパクトの最小化からポジティブなインパクトへ

キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長 磯崎 功典氏
当社は早くから社会やお客様からの要請に対応し、食品や医薬品を提供する企業の使命として環境問題を先取りして進めてきた。たとえばSBTの認証やTCFDへの賛同などどちらも日本の食品業界初となる取り組みとなる。
水資源では紅茶飲料の原料茶葉生産地であるスリランカにおいて農園内にある水源地の保全活動を2018年に開始し、水を大切にする教育プログラムを1万5千人に提供している。そして2020年2月、環境問題の深刻化や世界動向を踏まえて2050年に向けた新たな
「キリングループ環境ビジョン2050」を策定した。これからはネガティブインパクトの最小化に留まらず社会にポジティブなインパクトを与え、地球を次の世代につなげていくことを目指していく。
また地球温暖化は農作物の影響や災害を及ぼすだけではなく、世界共通の問題である感染症といったリスクも引き起こし、人類への脅威となりかねない。このような社会課題を解決するため、発酵バイオ技術から誕生した免疫機能の維持をサポートするプラズマ乳酸菌等を提供することで新たな成長機会にもつなげていきたい。

垣根を越えたエコシステム型のビジネスでCO2削減を

富士通株式会社 代表取締役社長 時田 隆仁氏
富士通は2050年の自らのCO2ゼロエミッションと気候変動問題の解決への貢献を「FUJITSU Climate and Energy Vision.」として2017年に掲げた。これにより再生可能エネルギーの利用拡大とデジタルテクノロジーを活用した自らの脱炭素化の実践、そして、社会の脱炭素化や気候変動によって起こりうる災害などの負の影響に対する社会のレジリエンス向上への貢献を目指している。
当社はモノづくり、流通、モビリティなどのあらゆる業種、さらには業種の垣根を越えたエコシステム型のビジネスにおいてCO2削減に貢献する革新的な生産性の向上や社会システムの最適化に取り組んでいる。たとえばお客様と連携し、交通や物流データのリアルタイム分析や予測シミュレーションにより、物流ネットワークの最適化に取り組み始めた。
また防災や減災に必要な気象予測や気候変動の影響対策に対し、世界トップクラスのコンピュータを開発提供し、貢献している。たとえば都市のレジリエンス強化としてデータを活用した気象や災害のリアルタイム分析や予測シミュレーションによる最適な避難経路の分析などを国内外で行っている。

気候変動Aリスト

志を同じくする企業と連携し、2030年CO2ゼロへ邁進

アスクル株式会社 代表取締役社長 CEO 吉岡 晃氏
気候変動に対する対策は企業に課せられた大きな責任の一つと捉え、多くの配送を行うEC事業者として脱炭素経営の取り組みを進めている。2016年には意志表明として、2030年CO2ゼロを宣言し、その翌年にRE100とEV100に同時加盟した。そしてグループ全体で電力使用量の34%を再生可能エネルギー由来のものに切り替えた。2020年8月には再生可能エネルギーとEVを導入した配送拠点が生まれ、実質的にCO2ゼロでお届けできる体制ができつつある。
脱炭素という大きな課題を解決するためには社会そのものを変えていくことが必要です。
志を同じくする企業と連携し、2030年CO2ゼロという大変高い目標に向かってやりきっていきたい。

保険・金融サービスの充実で安心安全な暮らしや企業活動を支える

MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 代表取締社長 グループCEO 原 典之氏
当社グループは保険・金融サービスを通じて活力ある社会の発展と地球の健やかな未来を支えることを支えることを経営理念としている。そしてこの経営理念に則り、環境の急激な変化や予期せぬ事象が発生しても柔軟に対応し、迅速に回復する力を備えたレジリエントでサステナブルな社会の出現を目指している。
こうした社会を実現するためには地球環境・社会・人々に関わるさまざまな課題を解決していく必要がある。昨今、大規模な自然災害が国内で頻繁に発生し、損失も大きくなっている。気候変動は当社グループの中核をなす、損害保険事業と密接に関係している。そのため、気候変動の対応を経営の優先課題と位置づけ、解決に貢献する取り組みをグループ全体で進めている。そして安心安全な人々の暮らしや企業活動を支えていくため、保険商品やコンサルティングの充実をより一層進めていく。

「環境デジタルプラットホーム」で環境に関する技術やノウハウを共有

コニカミノルタ株式会社 代表執行役社長 兼 CEO 山名 昌衛氏
当社は事業の成長と人間社会の進化につながる社会的価値や環境価値を一体化させることが持続的な企業価値向上であるとの信念で経営に取り組んできた。そして長期目標エコビジョン2020で掲げていたカーボンマイナスの達成時間軸を2030年に前倒しすることにした。
気候変動リスクに対する意識が世界的に高まるなか、当社の取引先やお客様企業を超えて、他業界へのカーボンマイナスへの賛同の輪が広がり、その結果として、「環境デジタルプラットホーム」が完成させることができた。このことで企業間の壁を越えて、環境に関する技術やノウハウをサイバー空間で共有することができると確信している。

2025年までに再生可能エネルギー100%を実現

楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史氏
楽天はイノベーションを通じて人々の社会をエンパワーメントすることをミッションとし、近年では楽天モバイルにおける完全仮想化ネットワークの実現に取り組み、成功した。気候変動への取り組みも持続可能な未来に向けた大きな挑戦の一つとなる。そのコミットメントとしてRE100に加盟し、楽天の事業で使用する電力を2025年までに100%を再生可能エネルギーにすることを宣言した。楽天は数多くのパートナーとビジネスを行い、グローバルで14億のユーザーと70以上のサービスを提供している。楽天が気候変動に取り組むことは。まさにこうした皆様と取り組むことだと考えている。

2050年 バリューチェーン全体のCO2排出量をネットゼロに

株式会社リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO 山下 良則氏
リコーは特に気候変動の分野では日本企業として初めてRE100に参加するなど注力しており、全社をあげて取り組んできた。
2020年には、GHG削減の2030年目標を従来の2015年比、30%から63%へと大幅に改正。その目標により、SBTイニシアチブによる「1.5°C目標」の認定を取得した。今、2050年に向けてバリューチェーン全体のCO2排出量をネットゼロの達成を目指している。また2019年夏からリコーの主力商品であるA3複写機を組み立てる日本やアジアなど5箇所の工場で生産に使用するエネルギーを再生可能エネルギー化するなどさまざまなチャレンジを続けている。

水セキュリティAリスト

世界中に美味しさをお届けし、存在意義を認められる企業に

キッコーマン株式会社 代表取締役社長CEO(最高経営責任者)堀切 功章氏
当社は2020年「キッコーマングループ 長期環境ビジョン」を公表したが、気候変動などとともに水への取り組みを柱の一つとしている。
さらに当社は国際的な水関連のイニシアチブ「CEO Water Mandate」に日本企業で初めて署名し、水のスチュワードシップを推進する行動の実践に努めている。
また海外においては生産拠点のある地域において企業市民として自然保護活動に協力。オランダでは湖の水質改善プロジェクトに参加し、シンガポールではマングローブ植樹などを支援してきた。キッコーマングループは世界中に美味しさをお届けし、存在意義を認められる企業でありたいと思っている。

地下水涵養を通じて、地域の地下水の保全に貢献

ソニー株式会社 VP,サステナビリティ推進部 シニアゼネラルマネジャー 今田 真実氏
当社においては国内外の事業所で地域の水資源への影響を鑑み、排水リサイクルを推進するなど積極的に活動を行っている。特に熊本の工場では地下水涵養を通じて、地域の地下水の保全を行っており、今回の評価につながったと考えている。
センシング技術を活用した電気自動車が普及していくことにより、人と車の安全への貢献に加え、CO2排出レベルの低減、電力のスマートグリッドの1部を担うことも期待されている。この取り組みのコアとなるCMOSイメージセンサーは地下水涵養の取り組みを行う熊本の工場で生産している。今後も事業活動における環境負荷低減の取り組みを一層強化していきたい。