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カーボンニュートラルな社会の実現のために グリーン水素を世界のエネルギー市場の50%に 東レとシーメンス・エナジーがパートナーシップを締結

 カーボンニュートラルの実現のため、ハイパワーでCO₂を出さない水素への期待が大きく高まっている。とりわけグリーン水素は再生可能エネルギーの電力利用で、製造過程においてもCO₂を排出させることなく製造されることから注目されている。
 このグリーン水素の活用によってカーボンニュートラルな社会の実現と地球環境の課題解決に貢献することを共通のビジョンとして掲げる東レ株式会社(以下「東レ」)とシーメンス・エナジーAG(以下「シーメンス・エナジー」)が戦略的パートナーシップを構築していくことに9月6日、合意した。

地球環境の課題解決を共通ビジョンとする2社

 東レとシーメンス・エナジーの両社は、再生可能エネルギー等由来の電力を用いて、水の電気分解からグリーン水素を製造し、得られたグリーン水素を、大規模発電等の電力用途のみならず、熱・輸送燃料・産業用途で活用するセクターカップリングにより、カーボンニュートラルな社会の実現、および地球環境の課題解決に貢献することを共通のビジョンとして掲げている。
 東レは、様々な分野に素材を供給する総合化学企業であり、創業以来、「事業を通じた社会貢献」を存在意義とし、2018年に策定した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」では、2050年に地球規模で温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界などを目指すことを宣言している。
 一方シーメンス・エナジーは、世界で発電される電力の推定 1/6 が、同社の技術に基づくなどエネルギー技術の世界的なリーディングカンパニーとして知られ、将来のエネルギーシステムに向け、より持続可能な社会への移行を支援している。

  • 東レ株式会社 代表取締役社長 日覺昭廣氏東レ株式会社 代表取締役社長
    日覺昭廣氏
  • シーメンス・エナジーAG エグゼクティブバイスプレジデント アーミン・シュネッテラー氏シーメンス・エナジーAG エグゼクティブバイスプレジデント
    アーミン・シュネッテラー氏

大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業に貢献

 9月1日、東レとシーメンス・エナジー株式会社(シーメンス・エナジーAGの日本法人)を含む7社と山梨県は、経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業であるグリーンイノベーション基金事業の採択を受け、再生可能エネルギー等由来の電力を活用し、水の電気分解から水素を製造するP2Gシステム技術の大規模システムによる事業を始動。「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ (H₂-YES) 」を構成し、大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業を開始した。同事業では2021年度から2025年度までの5年間で、再生可能エネルギーを安全・安心に水素エネルギーに転換できる固体高分子 (PEM) 型水電解を用いて、水電解装置の大型化・モジュール化に向けた設備設計や各種試験を行う。

 また、複数箇所において、モジュール化したP2Gシステムを合計16MW規模で導入し、大規模需要家におけるボイラー等による直接的な化石燃料の利用を水素エネルギーに転換する実証も計画している。

戦略的なグローバル事業展開を共同で推進

 この事業も、東レとシーメンス・エナジー両社にとっては戦略的パートナーシップ構築の一環である。東レは、東レ独自の「炭化水素系電解質膜」をシーメンス・エナジーに供給し、両社で協力して、シーメンス・エナジーの PEM 型大型水電解スタック・装置「Elyzer」への搭載・実証・事業化を推進するとともに、グリーン水素の利活用分野へのコラボレーション拡大についても検討していく予定だ。
 また今後、この2社は飛躍的に拡大が予想される世界市場獲得に向けて、両社の水素・燃料電池関連技術・事業、グローバルネットワークを活かして世界各国・地域の顧客に最適なソリューションを提供し、再エネ由来グリーン水素の導入拡大、および戦略的なグローバル事業展開を共同で推進していくことに強い意欲を持っている。
 基本合意書に締結に対し、東レの代表取締役社長:日覺昭廣氏とシーメンス・エナジーのエグゼクティブバイスプレジデント:アーミン・シュネッテラー氏は以下のように話した。

東レ株式会社 代表取締役社長
日覺昭廣氏

 シーメンス・エナジーと東レはこの度、革新的なPEM型水電解を用いたグリーン水素製造技術の創出によりカーボンニュートラルな社会の実現に貢献すべく、両社の戦略的パートナーシップの構築に合意した。
カーボンニュートラルの実現には再生可能エネルギー電力の拡大とともに非電力分野におけるグリーン水素の活用が重要であり、そのための鍵となるのは電力と非電力のセクターをカップリングする水電解によるグリーン水素だと考えている。
 今後は、協力して東レの先端素材の力とシーメンス・エナジーの先端スタックシステム技術を融合させることにより、東レ「炭化水素系電解質膜」を実装した革新的なシーメンス・エナジーの PEM 型大型水電解スタック・装置「Elyzer」を用いて、欧州・日本のみならず、オーストラリア、中東、南米などグローバルなグリーン水素サプライチェーンの構築を通じて、水素社会・カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

シーメンス・エナジーAG エグゼクティブバイスプレジデント
アーミン・シュネッテラー氏

 私は、エネルギー転換が進んでいくにつれてグリーン水素が最終的に世界のエネルギー消費量の少なくとも50%を占めていくことになると確信している。しかし、私たちは強力なパートナーなしでは水素社会を前進させることはできない。したがって私たちは様々な戦略的、地域的、また技術的なパートナーシップに取り組んでいる。
 東レのポリマー技術に関する素晴らしい専門性とシーメンス・エナジーのPEM型水電解装置システムおける長年の経験、MEA製造技術に関わる専門性が組み合わさることは、PEM型水電解技術をさらに発展させ、その長寿命化、コスト削減、水素社会の前進に貢献する貴重な機会となる。
 私はこの日独のパートナーシップと友情が実り多く、また建設的なものになることを確信しており、この協力に特別な期待を持っている。