Earth CompanyがIMPACT HERO 2022を2022年2月1日に発表

2022.3.3 掲載

一般社団法人Earth Companyはその事業の一つとして、アジア太平洋地域から1年に1人、SDGs に取り組み、未来を大きく変えることができる傑出したチェンジメーカーを「IMPACT HERO」として選出し、3年間徹底的に寄り添い、そのリーダーとしての素質・能力を引き出し、活動のインパクトを最大化するための支援活動を行っている。

今回も15か国のチェンジメーカーから応募があったIMPACT HERO2022。そこにはリジェネラティブな未来を創る変革力を持つ、傑出したチェンジメーカーが多数集まった。そのなかからEarth Companyの選考チームは慎重に検討を重ね、自信を持って選んだIMPACT HERO 2022と6名のファイナリストを2月1日に発表した。

未使用で捨てられる石鹸をリサイクルし、
廃棄物削減と女性の雇用を促進しつつ、
最貧困層の人たちの命を救う

IMPACT HERO 2022

サミール・ラカーニ Samir Lakhani

活動国:カンボジア、ネパール、他
運営団体:Eco-Soap Bank

戸田建設グループ

今回、IMPACT HERO 2022に選ばれたサミール・ラカーニ氏の活動のきっかけは、大学生の時に訪れたカンボジアの村にある。「洗濯洗剤と水を入れた洗面器で新生児を沐浴させる母親の姿を見て、衝撃を受けました。彼女は『石鹸は高すぎて買えないから』と言いました」。サミ―ルは、この体験をきっかけに、人生をかけて世界の衛生問題に取り組もうと、2014年にEco-Soap Bankを設立した。手洗いは最も安価で効果的な感染症予防策。しかしカンボジアを含む途上国の最貧困層の人々にとって石鹸は、手の届かない贅沢品でもある。子どもの命を奪う世界で2番目の原因は「下痢」。世界の最貧困地域で石鹸は、「命を救う」ツールとなっている。

一方で、世界中で毎年未使用のまま廃棄される石鹸の数は2.5億個。サミール氏が設立したEco-Soap Bankはこの未使用の石鹸を活用し、農村部の女性を雇用してリサイクルし、NGOや国際機関を通して必要な人びとに届けることで、廃棄物の削減、女性の雇用創出、衛生習慣と健康の改善を同時に図っている。

「これまでに1,500トンキロ以上の廃棄石鹸をリサイクルし、アジア、アフリカ地域の、550万人以上の人びとに届けてきました」そう話すサミールは、東アフリカで育ったインド系難民を親に持ち、アメリカに移住するまで機会に恵まれなかった両親の苦労話を聞いて育った。途上国の社会的弱者のウェルビーイングを少しでも向上すべく、まずは一番根本的な衛生面から、貢献している。

〈 IMPACT HERO 2022 選出理由 〉

●活動が広がれば広がるほど、廃棄物が減り、女性の雇用が生まれ、最貧困層の人々に石鹸と衛生教育が届くという事業モデルは、まさにEarth Companyが目指す「リジェネラティブ」なあり方。

●衛生状況の改善は重要なグローバル課題の一つであり、一つのシンプルなソリューションに特化しているからこそ、幅広くソリューションを展開することが可能。

●常に分析・評価・改善を重ね、受益者へのインパクトやプロダクトのサステナビリティを改善する努力を惜しまない、献身的で勤勉なチェンジメーカーである。

●Earth Companyの支援によりもたらされるインパクトが大きく、費用対効果が明確。

●Earth Companyのネットワークや、国際機関、企業との協働によるインパクト拡大のポテンシャルがある。

  • 〈 サミールから感謝のメッセージ 〉

  • みなさん、こんにちは。Eco-Soap Bank代表のサミール・ラカーニです。私たちの活動は、シンプルだけど、とてもパワフルです。Eco-Soap Bankは、カンボジアを中心に世界5か国の女性たちと一緒に、工場で廃棄されるはずだった石鹸をリサイクルし、必要としている人たちに届けることで、命を救う活動をしています。
  • IMPACT HERO 2022に選ばれたことは、本当に光栄に思います。Earth Companyのご支援者、アドバイザー、メンターの皆さまとお会いするのが今からとても楽しみです。そしてこれからリジェネラティブな社会変革をEarth Companyと起こしていくこと、私たちの命を救う活動をより加速させることを楽しみにしています!」
IMPACT HERO 2022 ファイナリスト

ゲイリー・ベンチェギブ Gary Bencheghib

活動国 インドネシア
運営団体 Sungai Watch
活動内容:河川のごみ問題対策

プロフィール:フランス人の両親のもと、プラごみ排出量世界第2位のインドネシアで育ったゲイリー。幼い時から環境問題に関心を持っていたが、ある日カヤックを漕いでいた川がごみでいっぱいなことに衝撃を受け、この問題を解決しようと決心。

2019年に設立したSungai Watchは、プラスチックごみの海への流出を防ぐために、これまでにコミュニティと協力して100以上のバリアをバリ島の92の河川に設置。毎日ごみを回収・分類してどこからきたのか分析し、できる限りリサイクルできるよう研究開発を続けつつ、住民の意識と行動変容を促している。

ホン・ホアン Hong Hoang

活動国 ベトナム
運営団体 CHANGE
活動内容:気候変動対策、環境保全、野生動物の保護

プロフィール:20代の時ベトナム人として初めて南極大陸を旅する機会を与えられ、地球温暖化の影響を目の当たりにしたホンは、環境問題に取り組むことをライフワークに。

気候変動の影響を大きく受ける母国の未来を次世代に繋ぐために、政府により活動が制限されるなか、環境問題に対する意識が高く、草の根レベルで行動を起こす人びとを育成・支援するため、2013年にCHANGEを設立。若者環境リーダーの育成、政策提言、メディアキャンペーンなどを通して、気候変動や環境汚染、野生動物の違法取引の対策に向けた活動を展開する。

エゴ・ レモス Eugenio ‘Ego’ Lemos

活動国 東ティモール
運営団体 PERMATIL
活動内容:学校現場でのパーマカルチャー教育の普及

プロフィール:インドネシア占領下の東ティモールで、家族でジャングルに身を隠し、過酷な自給自足生活で4年間生き抜いたエゴ。その経験が、後に自然との共生や栄養問題への関心に火をつけた。

1999年の設立以来PERMATILは、250を超える学校にパーマカルチャー活動を導入・普及。今や東ティモールの公立学校の正式な教育課程として取り入れられ、子どもたちの教育環境と健康状態の改善、持続可能な地域づくりを推進する。

マイシャ・ルババ Maisha Lubaba

活動国 バングラデシュ
運営団体 Protibha
活動内容:エシカルブランドを通した女性のエンパワメント

プロフィール:バングラデシュ、特に地方の女性の社会経済的状況の改善に熱意を持つマイシャは、Protibhaの代表として、バングラデシュの伝統工芸の再興と、女性職人の地位向上のためのソーシャルビジネスを運営。女性職人のスキル強化を支援し、72%の女性が起業家として独立し、15%が服飾関連の仕事に就業。

彼女たちがつくる手工芸品を都市部の市場につなげることで、地方に住む女性たちが持続的に収入を得て、社会経済状況を改善できるようサポートする。

ノリアワティ・ムリヨノ Noryawati Mulyono

活動国 インドネシア
運営団体 Biopac
活動内容:生分解性の代替プラスチックの開発

プロフィール:化学者として地球をより良い状態にしたいという想いから、プラスチックに代替するパッケージの開発と普及に取り組むノリ。2019年から株式会社Biopacの代表として、生分解性、入手可能性、加工コストなど多くの利点を持つ海藻を使ったバイオパッケージの開発と、市場開拓を進めている。

海藻パッケージによってプラスチックごみの削減だけでなく、原材料の海藻を漁業協同組合から調達することで、脆弱な漁業コミュニティを経済的にエンパワーすると同時に、海の生物多様性の活性化にも寄与するブルーエコノミーの実現に取り組む。

アパルナ・バットナガ―ル・サクセナ Aparna Bhatnagar Saxena

活動国 インドネシア
運営団体 TORAJAMELO
活動内容:エシカルファッションを通した農村部の女性支援

プロフィール:インドでフェミニストの両親のもと、平等な機会を享受して育ったアパルナは、自分の経験やスキルを社会に還元することをモットーとしてきた。その手腕を買われTORAJAMELOの2代目代表となり、世界で一番汚染を生み出す業界の一つとして悪名高いアパレル業界に変革を起こすことを目指す。

エシカル・スロー・ファッションブランドの確立と拡大を通して、素材作りからインドネシアの農村部で伝統織物をつくる女性たちの持続的なサポートまで、サプライチェーンの全側面を限りなくエシカル化したエコシステムづくりに取り組む。