Vane Vol.1掲載
COP23の報告と今後の展望

中川雅治 環境大臣
先進国と途上国での隔たり
環境大臣の中川雅治でございます。本日のセミナーではCOP23を始めとする世界の動き、とりわけ非政府主体の取り組みがテーマと伺っております。わたくしもCOP23に政府代表団の団長として参加をいたしましたので、そのご報告を兼ねてご挨拶を申し上げたいと思います。
今回は米国がパリ協定の脱退を表明してより初のCOPでありまして、各国の首脳閣僚に加え、民間企業や自治体などを含め、様々な団体がパリ協定の実施にコミットしていることが示され、大変大きな意義のあったことだと思います。
私は実際の交渉をしている各国の政府の代表団の方、そして企業や団体の方、NGOの方などいろいろな方とお会いし、またサイドイベントに参加をさせていただきました。全世界から本当に多くの皆様方が参加をし、大変盛り上がったCOPであったと感じています。
また会合ではパリ協定が2020年から着実に実施されるよう、すべての国の取り組みを促進するための実施指針の交渉が行われたところでございます。しかし先進国と途上国では、当初から大きな意見や隔たりがありました。途上国の方は、検証の方法についても、「途上国については配慮してほしい」との意見があります。一方、先進国の方は「このパリ協定というのは先進国も途上国でも、いわば一緒の船に乗って同じ方に向かって進むという事で扱い、区別するという事はしたくない」との考え方を持っています。
こういうことで意見の隔たりがあったわけでございます。その隔たりというのは最後までは埋めることはできませんでしたが、私はお互いにいろいろな意見を出し合い、それを記録に残し、そして来年のCOP24での合意に向けたいわば実施指針の土台ができたという風に思っております。そしてその意味で一定の進捗ができたと評価をしております。
「日本の気候変動対策支援イニシアティブ2017」を発表
私からは国内対策を着実に実施することに加え、世界のCO2の大幅削減に向けたビジョンと取り組みを示した「日本の気候変動対策支援イニシアティブ2017」を発表いたしました。このほか全世界の温室効果ガス排出量を観測する人工衛星、いぶき2号の来年度打ち上げ、そして2019年のIPCC総会の日本への誘致などを発信いたしまして各国から賛同の声をいただきました。