Vane Vol.1掲載
新たな挑戦で新成長領域へ。
調理器による健康ソリューションの提案を続けるタイガー魔法瓶株式会社

菊池 嘉聡 社長
後期高齢者の増加と健康への関心の高まり
2017年11月7日、タイガー魔法瓶「Magical Solution of Wellness」発表会がマンダリンオリエンタル東京にて開催された。同発表会では健康ソリューションへのタイガー魔法瓶株式会社(以下タイガー魔法瓶)による健康ソリューションへの取り組みや産官学パートナーによる共同開発の内容説明、今後の展望などが発表された。
最初にタイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長が挨拶。同社のこれまでの歴史の中で真空断熱技術や高精度熱コントロール技術、安心・安全設計といった独自の技術で豊かな生活と社会に貢献したことを紹介。そして調理器による健康ソリューションの提案という新たな挑戦を開始したことを述べた。そこに至った背景には2025年以降、75歳以上の後期高齢者が2000万人以上となる社会環境があること。同時に健康のために食事や栄養に多くの生活者が気を配る時代に入ったことを挙げた。その中で「健康のために、おいしい食事をガマンすることから解放したい!」という願いを実現していくためにスタートしたのが〈調理器による健康ソリューションの提案〉であると結んだ。

高齢者に美味しくたべやすいご飯を
次にタイガー魔法瓶開発本部の金丸等統括マネージャーが登壇。「さらっとご飯」「麦めし」「無添加グルテンフリー米粉100%食パン」に対応する各商品の開発背景について産官学のパートナーと共にプレゼンテーションを行った。
まずご飯と高齢者の嚥下対策について兵庫県立大学環境人間学部の坂本薫教授が説明。高齢者が咀嚼や嚥下に関わる身体機能が衰えることで、水加減を増やしてやわらかめのご飯を炊く現状にふれ、その米飯は柔らかいが口の中にくっつき、残りやすい上に必要な栄養量が確保しにくいという問題点を指摘した。そこからタイガー魔法瓶の炊飯器で炊かれるさらっとご飯と基準飯との美味しさを構成する重要要素であるテクスチャー測定をはじめ、粘土測定、咀嚼回数、官能評価の結果からさらっとご飯の優位性を証明。飲み込みにくさの要因の一つである「おねば」を程よく回収してご飯に戻さない炊飯技術を持つ新炊飯器「さらっとご飯クッカー」の開発につながった経緯について話した。
健康ニーズに応える麦めしメニューの搭載
続いて麦めしによる美容と健康サポートについて株式会社はくばく長澤重俊社長が講演。穀物によって健康な日本食を支える同社の理念を述べた後に、食物繊維と健康との関係について言及した。そこでは大麦摂取量が激減した頃から糖尿病や大腸ガンが増加したことを客観的なデータから説明。さらに腸内環境や免疫力の向上においても麦めしが大きく貢献できると話した。しかし、従来の炊飯器が持つ白米では硬く、ニオイが残るという問題点があったことを紹介。美味しい麦めしを通して健康を支えていきたいという熱い想いとタイガー魔法瓶の挑戦がそれらの問題解決につながり、麦めしメニューを搭載したタイガー魔法瓶の炊飯ジャーの開発に至ったと述べた。

米粉パンの不可能を可能にした加熱技術
無添加グルテンフリー米粉100%食パンにおいては国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の矢野裕之氏が登壇し、説明。まず近年、健康や美容で関心が高まる「無添加グルテンフリー」に応えられる米粉パンが注目されてきたことを紹介した。しかし、ふっくらと膨らむためには添加物を用いない米粉だけで膨らむメカニズムが求められてきたという背景を説明。常識では不可能とされてきたその技術を農研機構が開発、その商品化に成功したのがタイガー魔法瓶のIHホームベーカリーの加熱技術であることを紹介した。
産官学の三者のプレゼンテーションの後に再び、金丸等統括マネージャーが登場。これららの連携による健康ソリューションの開発が暮らしに確かな成果を得ていることを述べ、今後も〈温もりの魔法〉による美味しい食事を通じて健康で豊かなライフスタイルを創造していきたいと抱負を語った。
そして質疑応答の後にタイガー魔法瓶のCMで活躍する女優佐々木希さんのトークセッションが行われた。
