Vane Vol.1掲載
住宅のノウハウを宇宙探査事業への応用へ。
ミサワホームの提案がJAXA の研究提案募集に採択。

世界各国で進む宇宙探査への取り組み
ミサワホーム株式会社(代表取締役社長執行役員 磯貝匡志)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の「宇宙探査イノベーションハブ」(愛称:TansaX、ハブ長:國中均)が実施した研究提案募集に応募し、採択された。
世界各国では現在、人々の活動領域を拡大するため、宇宙探査に向けた取り組みが進みられている。特に月面探査については、国際協働での有人着陸計画が検討されており、今後、さらに活動が本格化していくと予測されている。
将来的な宇宙探査への応用に役立つ提案を募る
JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」は、地上の優れた技術とこれまでJAXAが培ってきた宇宙探査技術の融合により、新たな技術の開発に取り組む組織。地上・宇宙での技術を双方に応用することで、宇宙開発だけに留まらず、日本の産業振興と新たな産業創出につなげることを活動の目的としている団体だ。
今回の研究提案募集では、課題のひとつとして「拠点構造物の建築・拡張・維持の省力化」を挙げていた。宇宙探査活動の本格化に伴い、今後、宇宙の有人拠点は最低限の構造物から拡張し、複数の構造物が配置されることが予想される。ただし、これらの作業人数や建設期間は限られる上、専門外の作業者による建築となるため運搬性が良く、施工が簡単で、長期にわたる維持管理も容易である必要があった。そこでJAXAは、将来的な宇宙探査への応用を目的としつつ、まずは地上での事業化において実現性のある提案を求めていた。
約50年、南極昭和基地での実績を持つミサワホーム
ミサワホームは約50年にわたり、「南極昭和基地」において観測隊員の活動や生活を支える建物の部材製作を受注。高度に工業化されたミサワホームの建物は、建築経験のない隊員でも短期間で施工でき、南極のような過酷な自然環境にも耐える性能を有している。この工業化技術をさらに発展させることで、宇宙の拠点開発へも貢献できると考えてきた。また、宇宙空間で生活を維持するためには、省・創エネルギー技術や、エネルギー利用の最適化が必須であり、ミサワホームの長年にわたる省エネルギー住宅の研究開発の知見も生かすことができると判断。これらの考えのもと、「建築を省力化する工法技術」と「自律循環システム」の2項目について研究提案募集に応募。その結果、採択された。

省力化の技術と自律循環システム2項目で評価を獲得
「建築を省力化する工法技術」ではミサワホームの工業化住宅の技術をベースに、スケルトンとインフィルの間に新たなジョイント層を設け、部材のモジュール化と容易な接合方法を開発することで建築をより簡易にし、柔軟な拡張と縮小を可能に。併せて維持管理も簡易化し、耐用年数の伸長を目指した。
「自律循環システム」においては住宅における省・創エネルギー技術と創エネルギーとエネルギーのタイミングのズレを解消し、最適化するシステムについて研究・開発。またIoT技術を活用し、居住者の見守りや住宅のモニタリングからコントロールまでをワンストップで操作が可能な機器・サービスの仕様検討により、利便性良く、安全・安心で快適な生活を継続できるシステムの構築を図った。
今後3年をかけてさらに研究・開発を進めるミサワホーム
これらによって専門外の作業者による建築・維持管理が実現。需要に対応した柔軟な拡張・縮小・再配置完全自立型拠点の構築が可能になり、IoTによる人命保護、建物維持保全の省力化、生活の質の向上が期待できる。
これまで住宅業界のパイオニアとして、未来を見据えた技術開発・夢のある住まいづくりに取り組んできたミサワホーム。今回の研究・開発においても、これまで培ってきたノウハウを最大限に生かし、果敢に挑戦し、日本の宇宙開発の発展に貢献していきたいとその想いを発表している。今後は月面の有人基地への応用を視野に今後3年かけて研究・開発を進めていく。ミサワホームの活動のステージは今後、さらに広がっていきそうだ。