Vane Vol.1掲載
COP23でのノンステートアクターの動き、それを受けて日本は?

大塚隆志氏 一般社団法人イクレイ 日本事務局長
加速する企業と自治体の取り組み
今世紀後半に、温室効果ガスの排出実質ゼロを実現していこうという動きの中で地球規模によるノンステートアクターの取り組みはますます加速をしているところでございます。ではこの1年どのような歩みを見せたのか簡単に振り返りたいと思います。
まず企業の方から見てまいりますが2014年9月に国際環境NPO「The Climate Group」が「RE100」というプロジェクトを立ち上げております。こちらにわずか3年間でイケア、マイクロソフト等の名だたる企業が参加し、いまや117社が名をつられる大きなイニシアティブとして成長しております。ビジネス界における脱炭素化の流れは留まるところを知らないようで、RE100への加入企業は2018年の来年中には200社を超える規模となるが予測されています。
日本からも日本気候リーダーズ・パートナーシップの中心的な企業であるリコーさんと積水ハウスさん、そしてアスクルさんがRE100への参加を発表されました。特にアスクルさんは電気自動車への変換を進める国際イニシアティブであるEV100への加盟も同時に発表しまして注目を集めているところでございます。
こうした国際イニシアティブと並行して、各社によるイノベーションへの挑戦も加速をしております。すでに再生化のエネルギーを始めとする実質排出ゼロ向かう大きな市場が現実のものとなっております。また金融の分野では、気候リスクへの関心が大きく高まり、リスク回避、さらには投資の的確な把握に向けて情報開示要求が加速しています。
次に自治体の動きを見てまいりたいのですが、自治体を取り巻く最大の動きには、気候変動とエネルギーに関する世界首長誓約というプログラムがあります。これは2017年1月に2つの首長誓約プログラムが統合することによって7500都市が参加する都市間連携最大のプログラムということになります。日本からは東京都、横浜市、北九州市、広島市、富山市など全部で11の自治体が今回誕生した世界首長誓約に取り組んでいます。