国際サンゴ礁年オープニングシンポジウム
特別講演

土屋 誠 氏
琉球大学名誉教授
サンゴは多くの個体が集まっている群体
皆さんはサンゴ礁にどんなイメージをお持ちでしょうか。「サンゴの森が広がっている」。「カラフルな魚が泳いでいる」――このようなイメージをお持ちではないでしょうか。あるいは空から眺めると、「エメラルドグリーンに輝くキレイなサンゴ礁」でしょうか。サンゴ礁では潮が引きますと、たくさんある潮だまりには魚たちや、小さな生き物がおりますので、子供たちに楽しい学びの機会を提供することができます。
今日は、次のような項目に沿ってお話ししたいと思います。①サンゴってどんな生き物?②サンゴ礁は何故大切なのか③サンゴ礁を守る方法は?④サンゴ礁と共に暮らすには?――春先、潮が引いた天気のいい日、潮だまりにサンゴが顔を出します。残念ながらこのようなサンゴ礁の光景はほとんど見られなくなりました。
まず、サンゴはどんな生き物なのか、サンゴはどのような場所でどのような問題を抱えているかということからお話ししたいと思います。サンゴはたくさんの個体が集まっている群体なのです。つまり、何千というサンゴが集まっています。中には30センチから50センチにもなる大きなサンゴもありますが、多くのサンゴは群体を作ります。
サンゴ礁はとてもキレイです。素晴らしいです。その理由はどんなところにあるのでしょうか。まず、そこにはキレイで透明な水を湛えている素晴らしい海があります。このキレイな水が長期間にわたって管理・維持されていなければいけません。そこでは動物たちが健康的に暮らしています。
動物たちには環境浄化の役割があると言われます。そしてサンゴ礁には多様な生き物が住んでいます。生き物の多様性というのは説明するのは容易くはありません。ただ、さまざまな環境がサンゴ礁にあって、それぞれに多くの生き物が生息しています。そのようにご理解してください。例えばサンゴ礁にはさまざまな魚たちが住んでいますが、それぞれ住んでいる場所が異なります。イソギンチャクに住んでいる魚もいます。また、小さなハゼはサンゴの枝の間にも住んでいます。