脱プラスチック社会への加速度

小島政行氏
特定非営利活動法人
プラスチックフリージャパン
理事長
日々、深刻さが増すプラスチックによる海洋汚染。国連環境計画の発表によると、「このままでは50年後には海の中のプラスチックごみが、魚類よりも多くなってしまう」とも予想されている。解決の糸口が見えない中、脱プラスチック社会は本当に可能になのか。またそれを実現していくために何が必要か。特定非営利活動法人プラスチックフリージャパンを訪れ、理事長の小島政行氏にインタビューした。
プラスチック海洋汚染の現状と原因
――プラスチックの海洋汚染の現状はどのようなものでしょうか。
私たちの身近にある海から言うと、たとえば鎌倉や江ノ島といった海はそれほど汚れているようには見えません。もちろん、よく見れば汚れていますが・・・。しかし、日本海側と長崎近辺の海は、見た目でもひどく汚れています。ですから太平洋側と日本海側では汚染の度合がちがいます。
また瀬戸内海は場所によっては淀んでいる箇所があり、そういったところは白い発泡スチロールのスープが生まれています。
世界の海に目を向けると太平洋にはゴミベルトと呼ばれるものが発生し、プカプカとプラスチックが浮いている状況だと聞いています。それは面積的にはフランスくらいの大きさがあると言われています。
ただし今、お話した事例は海面という目に見える範囲だけの話であり、海底には計り知れないほどのプラスチックが沈んでいます。
――プラスチックの海洋汚染の原因はどんなものが挙げられるとお考えでしょうか。
海に流出するプラスチックにはやはり中国、韓国、インドネシア、フィリピンといったアジアの国々のものが多いでしょう。それは海がゴミ箱代わりになっているからです。
日本から出るプラスチックとして多いのは、ポイ捨てのゴミです。中でも海に一番落ちているのはタバコのフィルターです。タバコをポイ捨てする人の中には道路脇の側溝に吸い殻を捨てる人が多いようですが、捨てられた吸い殻は、水と共に川へ流れ、そして海に辿り着きます。
あと観光地で食べる飴の小袋なども多いですが、それも含めて、海に流れてきているゴミの80%は陸から川へ流れ、そして海に流れ着いていると言われています。
また、今あるゴミは、今捨てられたゴミではなく、何十年も前に捨てたゴミが未だにあるわけです。さらに世界の規模からいくとポイ捨てのレベルではありません。焼却場があるわけではないですから、毎日トラックで来て、川にボーンと捨てる。それがそのまま海に行きます。
その他には震災のゴミなどもあるでしょう。地震や洪水などで流れ出る可能性は高いと思います。