リスクを把握し、ESG経営を加速
イオン株式会社がサステナブル経営説明会を開催

 2019年12月11日、イオン株式会社(以下イオン)は都内でサステナブル経営説明会を開催。気候変動が原因と考えられる様々な自然災害が相次ぐ中、同社が以前から進めてきた環境問題への取り組みや現在の課題、さらにTCFDのガイダンスに沿ったシナリオ分析に基づくリスク項目の特定と、対応策について説明した。ここでは執行役として環境・社会貢献・PR・IRを担当する三宅香氏が発表した「イオンのESG経営について」の概要を紹介する。

気候変動が事業経営に大きく影響

 イオンの基本理念は「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」。この理念に基づいて2011年に策定したのが「イオン サステナビリティ基本方針(2018年9月改訂)」となる。そこでは「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指すことを掲げ、この方針に沿って「環境」「社会」の両側面で、グローバルに考え、 それぞれの地域に根ざした活動を、多くのステークホルダーと共に積極的に推進してきた。
 近年、自然災害の発生件数の増加と脅威が拡大し2018年、2019年ともイオンは災害により、店舗や商品などに直接的影響を受けた。気候変動が事業経営に大きな影響を与えていくという認識に立って行動していかなければならない状況にある。

シナリオ分析に基づき、リスクを特定

 グローバルに見ると、ビジネスセクターに対して長期的な目標を設定することが求められるようになっている。イオンでは長期的な目標として、2018年3月に「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定し、発表した。
 また今回、TCFDのガイダンスに沿ったシナリオ分析とリスク項目の特定、対応策とまとめた。
 「移行リスク」としては炭素の価格付け、省エネ規制・代替フロン規制、エネルギー価格(電力価格)や食料品・原材料の需給バランス、そしてお客様の変化、「物理リスク」としては異常気象による店舗被害を、イオンにとって重要な6つのリスク項目として特定し、それぞれの重要度を評価した。
 これらを踏まえて、4℃の世界、すなわちこのまま成り行きに任せて気温が上昇し、平均気温が4℃上昇することになった場合と、パリ協定が守られ、気温上昇が2℃未満に抑えられた場合についてリスク評価と対策の検討を行った。先日のIPCCの報告では、どちらの世界に向かうかは、2025年から2030年が分岐点だと言われている。
 イオンにとって4℃の世界で最も大きなリスクは、生産適地・生産量の減少による食料品・原材料の需給バランスの崩壊である。これによるビジネスへの影響は非常に大きい。また店舗運営に多くのエネルギーを使うため、エネルギー価格の上昇にどう対応するかも重要な検討課題になる。
 気温上昇が2℃未満の場合は、炭素排出コストの事業活動費への組み込みや、お客さまのライフスタイルや価値観の変化も事業に大きな影響を与えるものと想定している。
このように4℃と2℃の世界それぞれの事業へのインパクトの洗い出しを行った結果、エネルギー(省エネ・再エネ)、商品調達(サプライチェーン)、店舗(事業継続)、お客様のライフスタイルの変化・価値観の変化(循環型社会)の4項目に対する対策が重要であると考えた。