私たちの暮らしの中から世界変革への行動を起こす
イオン株式会社

 コロナ禍を経験し、今まで以上に人と人、あるいは人と世界との関わりを考えざるをえない局面を迎えた私たち。その中で今、私たちが目指している「持続可能な社会」の存在価値もより一層高まってくるだろう。そこで環境問題にいち早く着目し、活動を展開してきたイオン株式会社を訪問。
 イオンが実践してきた先進的な取り組みについて、環境・社会貢献部 鈴木隆博部長にインタビューした。

時間をかけてお客さまの理解を深めていく

――7月1日からの全国でのレジ袋有料化に先駆け、イオンでは既にプラスチック製レジ袋の削減に向けて1991年に「買物袋持参運動」を、2007年に総合スーパーの食品売場において「無料配布中止」を開始しました。
 2013年にはお客さまのご理解のもと無料配布中止店舗を全国に拡大し、本年4月1日からは、都市型小型スーパーの「まいばすけっと」、ドラッグストアの「ウエルシア」、さらには全国のGMS「イオン」の直営全売場でプラスチック製・紙製を含むすべてのレジ袋の無料配布を終了されています。
 時代に先駆けて、それらを可能にした理由はどこにあるとお考えでしょうか。

鈴木:イオンは1990年代から植樹活動等に取り組むなどいち早く、環境問題に取り組んできました。30年に及ぶ歴史やベースにある企業理念が広く浸透している風土があったからだと考えています。
 このような背景の中で私たちは、お客さまといっしょに長きにわたって「買物袋持参運動」や店頭の資源回収などくらしの中でできる環境問題への取り組みも続けてきました。 結果として、お客さまとともに進めてきた活動の着地が4月になったものであり、7月1日のレジ袋有料化に先駆けようと考えたものではありません。

――お客さまの理解はなぜ得られたのでしょうか。

鈴木:長い年月の中で実践してきた私たちの取り組みが、お客さまに理解されたのだと思います。
4月に食品から衣料品や日用品にまでレジ袋有料化を拡大した際、レジ袋辞退率は5割前後を想定していました。
 しかし、実際には8割近いお客さまがレジ袋を辞退されていたことには驚き、私たちが思っている以上にお客さまには根づいた取り組みであると気づかされました。私たちのやり方がベストではなく、まだまだ改善する余地はあります。これからもお客さまのご理解を得られるよう推進していきたいと考えています。

レジ袋有料化がプラスチック問題を変える契機に

――環境省では、プラスチック製レジ袋の有料化をきっかけに、レジ袋を1週間1枚もらわなかった人の割合を本年12月時点で6割にする「みんなで減らそうレジ袋キャンペーン」を推進していますが、イオンでは既に達成されています。
今後のさらなる目標を教えてください。

鈴木:環境省の方などから「イオンさんが先駆けてレジ袋有料化を行ってくれたのでやりやすいです」とよく言われます(笑)。
 ただ今後はレジ袋の辞退率のみに固執するのではなく、「買物袋持参運動」の名のとおり、マイバックを持ってお買い物に来ていただける行動変容を促したいと考えています。そのための施策として、イオンのブランド「トップバリュ」から原料の一部にリサイクルプラスチックを使用したマイバッグの販売をスタートしました。
 また、エンターテインメントの力でSDGsの認知度向上に努めている吉本興業様との連携で、資源を使い捨てにしないライフスタイルの定着に向けたメッセージを発信するキャンペーンをはじめました。
 これらの取り組みを店舗の従業員が紹介し、ひとりでも多くのお客さまに気軽に参加いただくことを重視したいと思っています。
 私たちとしてはこの活動を30年近く続ける中で、「何のために行うのか」という説明はしてきたつもりですが、それでも「本当に海洋ごみの削減につながるのか」「実際にレジ袋を減らしても大した効果はないのではないか」といった疑問をもたれる方も多いと思います。
 事実、レジ袋だけをなくしてもプラスチック問題の全てが解決するわけではありません。しかし、レジ袋の有料化によって「使い捨て」という文化から「資源を繰り返し使ってもらうこと」へ多くの人が方向転換していく契機にはなるはずです。つまり、レジ袋を使わないことがプラスチック問題を良い方向に導く入口になる。そういった趣旨や目的をきちんと発信し、賛同を得るためにお客さまとのコミュニケーションをより活発にしていきたいと考えています。

イオン株式会社 環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博氏

イオン株式会社
環境・社会貢献部 部長 鈴木 隆博氏

SDGsの項目との関わりを考えるうえで、ワークショップが非常に有効と考えています。