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危機のその先に平和を追求するサステナブル経営

 「2020年度イオンのサステナブル経営説明会」が1月25日に開催された。席上、執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当の三宅香氏、執行役 人事・管理担当 兼 リスクマネジメント管掌 渡邉 廣之氏がプレゼンテーションを行い、同社のサステナブル経営について説明した。

「平和」と「先進性」が貫かれた取り組み

 プレゼンテーションの冒頭において三宅氏は平和・人間・地域を軸としたイオンの基本理念を紹介しながら、そこにある「平和」という意味をコロナ禍のこの1年ほど噛みしめたことはないと語った。その言葉に象徴されるようにイオンのサステナブル経営には人類の存続危機を回避し、平和の創出を願う企業姿勢が根底にある。
 また新型コロナウイルスの感染拡大の中で「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」をいち早く制定した。さらに、今回の説明会では間に合わなかったがイオンは新型コロナウイルスのワクチン接種の場所として店舗施設を提供することを明らかにした。そこには状況に即応するスピードが光る。つまり「平和」と「先進性」が同社のサステナブル経営の特徴とも言えるだろう。

多面的な再エネ調達でCO2排出量の削減に挑む

 人々の平和を揺るがした出来事は新型コロナウイルスの感染だけではない。2019年の台風15号や19号の惨劇はまだ記憶に新しい。それらの要因となる気候変動に対してイオンは2018年に「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定。その成果として、三宅氏はグループ全体のCO2排出量が基準年である2010年から2019年まで約10%減少となったことを報告した。
 また2020年3月に開店したイオンスタイル海老江に導入したスーパーマーケットでは、世界初となる「人流等のデータとAIを活用した空調エネルギー削減システム」が空調におけるCO2排出量を40%削減できる試算であることを説明。さらに自社物件の屋上にソーラーパネルを設置し、それを店舗で活用するオンサイトPPAによる再エネ調達、家庭で創られた余剰電力を融通する卒FITを活用した店舗事例、EVを仲介して各家庭での再エネを店舗に運び、活用するVPPの取り組み等を紹介した。そしてこのような多面的な再エネ調達が今後も加速していくと述べた。

イオン脱炭素ビジョン2050の進捗

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買物袋持参運動を始め、食品ロスや脱プラスチックなどの資源循環を促進

 省資源や資源循環に対して三宅氏は1991年から買物袋持参運動、店頭資源回収運動を開始してきたこと、時代に先駆けて2007年から食品売場のレジ袋無料配布を中止した取り組みの変遷に触れた。また2000年9月に策定した「イオン プラスチック利用方針」では、2050年CO2排出量ゼロの持続可能なプラスチック利用を視野に入れ、2030年までに使い捨てプラスチック使用量を半減していくことやプライベートブランドのペットボトルを100%再生または、植物由来素材へ転換していくことを目標として定めたことを伝えた。
 資源循環に関しては、お客さまのご理解・ご協力のもと店頭資源回収を推進していることを報告した。さらにイオンと丸紅グループが協働し、イオンの店舗でお客さまから回収するペットボトルをクローズドリサイクルで再商品化して資源循環体制の構築を目指す「ボトルtoボトルプロジェクト」を開始したと紹介。使用済ペットボトルの回収・運搬から製品化までを一気通貫で行うグループ横断型の新しいスキームの構築を目指し、安定的かつ持続的な資源循環体制を目指すプロジェクトであり、この2月から実証を開始していくと語った。
 また、三宅氏は、食品を取り扱う小売業の責任としてサプライチェーン全体の食品廃棄物削減への取り組みは重要課題であり、イオンがWRIの呼びかけのもと、「10×20×30食品廃棄物削減イニシアティブ」の日本プロジェクトを2019年から始動したことを振り返った。同イニシアティブは世界の小売10社が20社の重要サプライヤーと協業し、2030年までに食品ロス・廃棄物の半減を目指す。そしてアジア小売業で唯一となる今回のプロジェクトは、イオン一社だけではなく、商品を提供する食品メーカーを巻き込んだ取り組みとなる。このプロジェクトの具体的な取り組みとして、ミニストップの店舗での弁当、おにぎり、寿司類のサプライヤーである(株)日本デリカフレッシュ社とともに行った事例を紹介。1日の製造回数と納品回数を削減することで見込み生産が抑えられ、工場の食品廃棄量が13%減少したことを報告した。

WRI 10✕20✕30 イニシアティブについて

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暮らしや生産者に平和を創る持続可能な調達

 同説明会では農産物や畜産物、そして水産物や紙・パルプ・木材、パーム油などの持続可能な調達方針の進捗を説明。イオンの「サステナブルコーヒー」にクローズアップし、この商品が原料の調達において第三者認証等の持続可能性を裏付けした上で、現地の生産者や労働者のくらしの支援にも寄与できることを伝えた。

サステナブル・コーヒー・プロジェクト対象商品

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街づくり・絆づくり、次世代支援・育成で地域社会に貢献

 2021年は、未曽有の大災害として歴史に残る東日本大震災から10年となる。この間、イオンは東北復興支援「イオン 心をつなぐプロジェクト」を進めてきた。三宅氏はその中の最終ステップとなる「イオン 未来共創プログラム」にクローズアップ。2016年から東北の被災地における社会的課題を「持続可能な地域共同体の再生」と捉え、交流を通し地域課題の解決への支援を目指すプログラムであり、被災地とグループ会社が共同で取り組み、東北各地の特産品の生産から販売までを支援し、地域の人々と従業員の交流を通じて課題解決に取り組んできた事例を紹介した。
 一方、視点をコロナ禍に移せば、様々な人々がその苦しみを強いられる中、子どもや子育て世代が背負う負担も大きい。今回の説明会においては、その負荷を軽減する取り組みを紹介。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえと連携し、継続的な子どもの「食」支援を行う「イオンこども食堂応援団」を発足したことを説明した。

事業を通じた地域社会への貢献

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基本理念にある平和・人間・地域の思想がすべての取り組みに

 三宅氏の次にプレゼンテーションを行った渡邉氏は2020年6月に制定した「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を通じて継続的に防疫と事業を並走させていると紹介した後に、人材こそが最大の経営資源という創業以来の信念に基づき、経営を支える「人」への取り組みについて言及。従業員と家族の健康をサポートし、従業員とともに地域社会の健康とハピネスを実現する「イオン健康経営宣言」を説明し、敷地内禁煙・就業時間内禁煙などの具体的な取り組みを伝えた。
 人材の獲得については、新卒採用とキャリア採用の比率を「50」:「50」に。またパートタイムを含めた地域人材の登用も強化、多様な人材の多様な働き方で力を発揮し続ける企業風土を創っていきたいと語った。
 さらには、デジタルトランスフォーメーションを進めていく上で必須となるデジタル人材の採用と活躍できる風土づくりにも意欲的に取り組んでいきたいと述べた。
 脱炭素から人材の育成まで多彩なステージに広がるイオンのサステナブル経営。そのすべてを貫くのは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」を掲げたイオンの基本理念だ。この理念のもと「お客さま第一」を実践し、自らの変革を止めないからこそ、イオンという企業集団は、その持続を可能にしていけるのだろう。

イオンの健康経営

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イオンのサステナブル経営説明会の概要はこちら。