月刊 Vane Online 環境・CSR情報誌「ヴェイン」公式サイト
環境分野のトップランナー企業が、環境大臣へ強い決意を表明

エコ・ファースト 推進協議会 通常総会が開催

 環境大臣から環境先進企業として認定を受けた「エコ・ファースト企業」による自主運営組織「エコ・ファースト 推進協議会」(2009年12月9日設立、加盟50社)は、4月14日に通常総会を開催し、2020年度事業報告、議長・副議長・幹事の選任、2021年度事業計画を承認した。
 議長は、戸田建設代表取締役会長今井雅則氏、副議長は積水ハウス代表取締役副会長 稲垣士郎氏をそれぞれ再任、新幹事には島津製作所代表取締役社長上田輝久氏が選任され、就任の挨拶を行った。
 また総会では、この日(4月14日)が40歳の誕生日という環境大臣・気候変動担当大臣の小泉進次郎氏が「2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み」と題する講演を約20分オンラインで行い、これに応える形で今井議長が議長メッセージと要望を発表した。

グリーン購入ネットワーク代表理事 則武祐二氏エコ・ファースト 推進協議会 議長

今井雅則氏

50社体制でさらに役割に重みが増したエコ・ファースト推進協議会

 総会の冒頭、議長の今井氏は挨拶で大要次のように話した。
 昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大は我々の生き方や仕事の進め方に大きな影響をもたらした。その中にあって気候変動対策については米・バイデン政権のパリ協定復帰や菅総理大臣の2050年カーボンニュートラル宣言など、いくつかの明るい兆しを見出すこともできた。一方、温室効果ガス濃度、平均気温のいずれも上昇が続き、自然災害は激甚化し、水、食料不足等が現実味を帯びている。当協議会も昨年度新たに5社が加わり、50社となり、さらにその役割に重みが増したと認識している。
 本日の総会では小泉環境大臣・気候変動担当大臣にもオンラインでご参加の上、ご講演をいただくことになっている。オンラインとはいえ、リアルタイムでご参加いただくことは大変栄誉に思う。講演後エコ・ファースト推進協議会議長メッセージを宣言させていただく。我が国の環境分野におけるトップランナー集団である当協議会の2050年に向けた決意を小泉環境大臣・気候変動担当大臣に直接お伝えしていきたい。

2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み

エコ・ファースト推進協議会へのメッセージ
環境大臣・気候変動担当大臣の小泉進次郎氏

 環境大臣・気候変動担当大臣の小泉進次郎氏は「2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み」と題して以下のような内容で講演を行った。

脱炭素社会、循環経済、分散型社会への移行を加速

 私たちが今、直面しているのは、気候危機とコロナ禍になる。特にコロナ禍は人間社会のあり方がこのままであるなら、収束後も新たなパンデミックと向きあう可能性がある。
 そういった状況下で今、環境省が進めているのが経済社会の再設計=リデザインとなる。経済社会を新たに持続可能でより強靭なものに変えていく上で必要なものは脱炭素社会、循環経済―サーキュラーエコノミー、分散型社会という3つの移行を加速させることである。その加速によって経済社会をいかにより災害に強く、かつ持続可能なものへと再設計していくか、これが今後の大きな課題となる。

再生可能エネルギー100%導入企業の増加に期待

 ここでエコ・ファースト推進協議会の企業の皆様を含め、最近意欲的な活動を掲げている取り組みをいくつか、企業名を挙げて紹介をさせていただく。
 そこに共通するポイントは、カーボンニュートラルなど目標とする期限をかなり前倒しで掲げているということ。カーボンニュートラルは日本政府としては2050年までを期限にしているが企業の中では2030年までに達成するというところもある。さらに再生可能エネルギーの100%導入を掲げているのがヒューリックや楽天、アスクルなどになる。
 この中でも大手不動産会社は、新たに自社で再生可能エネルギーの発電所の開設を進めている。私は再生可能エネルギーに対して他業界から参入ができ、意欲的なプレーヤーとなることは素晴らしいことだと思っている。また、こういった意欲的な取り組みの後押しをしていきたいと考えている。

環境大臣・気候変動担当大臣 小泉進次郎氏環境大臣・気候変動担当大臣

小泉進次郎氏

気候変動対策で世界のトップクラスに立つ日本

 国際社会でも有名な取り組みにTCFD、SBT、RE100がある。実はこの3つの取り組みで日本は世界の中でもかなりトップクラスに位置している。TCFDは気候変動の取り組みが与える影響を情報開示する仕組みとなるが、これに賛同している政府や金融機関や企業等の数は世界1位、またSBTというパリ協定の目標である世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、科学的な知見と整合した削減目標を設定している企業の数はアジアで1位であり、世界では2位。再生可能エネルギー100%の調達を掲げるRE100を宣言する企業の数もアメリカに次ぐ2位となっている。しかもRE100においては総理のカーボンニュートラル宣言以降、かなり再生可能エネルギー関する関心が高まっているため、今、日本は数字でいえば2位だが、伸び率でいえば世界1位になるだろう。今や企業が支援されるのではなく、むしろ政府の背中を押す形となっていることが日本の特徴となっている。

再生可能エネルギー導入と脱炭素の取り組みを支援する「ゼロカーボン・ドライブ」

 今回環境省は、思い切った再生可能エネルギー導入と脱炭素の取り組みを支援する目的で「ゼロカーボン・ドライブ(略称ゼロドラ)」を始めた。これは仮に再生可能エネルギー100%を調達し、電気自動車を購入すれば補助金が最大80万円まで倍増になるというものだ。今、環境省には毎日1000件以上にものぼる問い合わせが寄せられ、この機会にEVやPHEV、FCV を購入しようという流れが広がっている。
 個人や自宅で再生可能エネルギー100%の契約をしても利用可能であり、会社では社用車としてEVを買いたい。そして再生可能エネルギーに替えていくことで適用ができる。ぜひエコ・ファースト推進協議会の皆さんにも知っていただきたいと考え、あえて紹介をさせていただいた。

~ゼロカーボン・はじめました!~

エネルギーの転換は、将来世代のための投資

 次に再生可能エネルギーに関する発想の転換をあらためて共有したい。日本はいよいよ化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトを実行すべき時が来ている。しかし、実は化石燃料の輸入のために毎年17兆円という巨額を海外に支払っている。一方、環境省の試算では再生可能エネルギーのポテンシャルは、日本には電力供給量の最大2倍が存在することがわかっている。この2倍のポテンシャルを最大限に使い、海外に支払う国民の富を少しでも国内に還元していく再生可能エネルギー型の国づくり、地域づくりを行っていくという思いを共有したい。これはエネルギー安全保障の強化にもつながる。
 日本は資源が乏しい国といわれている。しかしそれは化石資源が乏しい国であることを意味しているに過ぎない。再生可能エネルギーでは資源豊富な国といえる。さらに再生可能エネルギーの導入を国民負担と位置づけるのではなく、CO2を排出しないための「将来世代のための投資」と捉えていきたい。そして地域内の資金循環による産業や雇用の創出、また災害に強い地域づくりなど、地域課題の解決にもつなげていきたい。これについてもエコ・ファースト推進協議会の皆さんと思いを同じくしたいと考えている。

国・地方脱炭素実現会議「地域脱炭素ロードマップ」のイメージ

5年間で日本の各都市に脱炭素ドミノを起こす

 今、「国・地方脱炭素実現会議」というものが首相官邸で開催されている。これは環境省が運営を担い、「地域脱炭素ロードマップ」をつくるための作業を行っている。ポイントは5年間の集中期間を設けて、政策を総動員して先行的なカーボンニュートラルの地域をつくっていくところになる。そして、この先行的なカーボンニュートラルを次々と広げ、脱炭素ドミノを起こしていきたい。こういったことを目指しながら、ロードマップをこの5月・6月までには完成させたいと考えている。これらの先行地域は、ビジネスをされている皆様にとって自治体とのパートナーづくりの上でも役立つと思う。
 環境大臣に就任したときは2050年ゼロカーボンを目標にする自治体はたった4自治体しかなかった。しかし今、366自治体、人口規模1億1千万人に達するような勢いで意欲を持って気候変動対策を進めている。この流れをしっかり後押ししていくために法律改正も行い、予算も確保していきたい。

使い捨てプラスチックに対する新たな法改正を実施

 6月11日~13日 はイギリスでG7サミット、9月には国連総会、 10月30日・31日はイタリアでG20 サミット、11月1日~12日はイギリスで COP26と今後も気候変動に関連する国際会合が数多く開催される。こういった一連の国際会合に向けて、私も気候変動担当大臣として、政府内の方針を一つにまとめて、調整などを行っているが、政府全体の目標・取り組みがリーダーの皆様の前向きな取り組みの後押しにつながるよう、全力で取り組んでいく。
 そして今日あらためて皆さんとお話ししたいのは、気候変動対策を進めて、脱炭素の世界をつくる上では、循環型の経済、サーキュラーエコノミーを実現していくことが不可欠だということ。まず前提としてはごみを出さない。新しい材料使わずにリサイクルを徹底させる。こういったことがサーキュラーエコノミーといえるが民間の取り組みもかなり進んできた。
 花王やライオンでは同業でライバルでありながら、サーキュラーエコノミーの分野では協調分野を持っている。サーキュラーエコノミーは2030年までには世界規模で500兆円もの市場規模に成長するといわれている。環境省としては経団連や経産省といっしょにパートナーシップを立ち上げた。今後、日本が強みを持っているこの分野でサーキュラーエコノミーの取り組みをさらに進めていこうと思っている。
 ちなみに日本の取り組みのさきがけとしては、今国会で使い捨てプラスチックに対する新たな法改正を実施するので是非注目していただきたい。

サーキューラーエコノミーで世界市場 約500兆円

脱炭素への正念場を乗り越えていく

 脱炭素についてはエコ・ファースト推進協議会に今まで牽引していただいた。しかし、これからがその正念場となる。私は、日本の脱炭素については菅総理のカーボンニュートラル宣言で、不戦敗を免れたと思っている。しかし勝者になるかどうかはこれからにかかっている。目の前の日米首脳会談や今後の様々な外交日程の中でも日本が脱炭素に本気であるということを示し、脱炭素で日本の企業の新たな産業や雇用の創出につなげていく必要がある。脱炭素の大競争時代、新たな産業革命の時代をエコ・ファースト推進協議会の活力ある皆様とともに歩んでいきたい。

次ページ
→脱炭素と資源循環型社会の実現へ。官民連携した取り組みを強化
 エコ・ファースト推進協議会 議長メッセージ