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「夏休み 子どもの食 応援ボックス」を3,000世帯へ提供 イオンとパートナー団体・企業が食品ロスの軽減と子育て家庭の支援に取り組む

 コロナ下で失われたものは多い。しかし、その中で食品ロスと子どもの貧困にスポットが当たり、持続的な解決への道筋がイオンとパートナーシップによって構築されつつある。その一つが「夏休み 子どもの食 応援ボックス」だ。
 この応援ボックスは、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した子どものいる家庭3,000世帯を対象に学校給食がなくなる7月下旬から8月にかけて実施される。

3団体が協業した「夏休み 子どもの食 応援ボックス」

 イオンが日本国内の食品メーカーなど21社と取り組む「WRI(World Resources Institute:世界資源研究所)10x20x30食品廃棄削減イニシアティブ日本プロジェクト(以下、WRI10x20x30日本プロジェクト)」と、同じくイオンがステアリング・コミッティの議長を務める「ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム 日本サステナビリティ・ローカル・グループ(以下、ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム)」は、「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと協業し、2021年7月に「夏休み 子どもの食 応援ボックス」を提供することを発表した。
 その概要説明会が、6月23日に開催され、第一部ではザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム 日本 サステナビリティ・ローカル グループ 議長 椛島 裕美枝氏(イオン株式会社 環境・社会貢献部)、WRI10x20x30日本プロジェクト 責任者 三宅 香氏 (イオン株式会社 環境・社会貢献責任者)、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 事務局長 三好 集氏が登壇した。

ベストプラクティスを共有しながら、食品ロス廃棄削減に取り組む

 最初に椛島氏はザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムの活動の紹介と本取り組みの背景について以下のように説明した。
 ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムは世界の消費財企業(製造・小売り)を中心に約70ケ国約400社が加盟する国際的な消費業界団体であり、日本の参加企業約70社の活動推進のため、日本サステナビリティ・ローカル・グループが発足した。
 同組織は国内において参加企業のベストプラクティスを共有しながら、食品ロス廃棄削減に取り組む個社のアクションサポートをしている。
 今回の「夏休み 子どもの食 応援ボックス」を実施するにあたっては、WRI10x20x30の日本プロジェクトと連携し、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンをパートナーにコロナ下で加速した社会課題である有事の際の食品ロスを活用した支援枠組の構築を図ったと述べた。

椛島 裕美枝 氏椛島 裕美枝 氏

志を共にする企業がサプライチェーン上で様々に協業

 次に三宅氏は、WRI10x20x30日本プロジェクトの活動紹介と本取り組みについて以下のように述べた。
 WRI10x20x30は世界の小売10社が20社の重要サプライヤーと協業し、「目標設定―算定―行動」のアプローチで、2030年までに参加サプライヤーと共に食品ロス・廃棄物半減のための取り組みを実施するイニシアティブとなる。
 イオンは「WRI10x20x30日本プロジェクト」を、2019年の12月に日本国内の食品メーカーなど21社の皆さまと立ち上げ、この動きをサプライチェーン全体に波及させ、食品ロス・廃棄の半減に資することを目指し取り組み中だ。
 始動してすぐに新型コロナウイルスのパンデミックが起き、活動自体が思ったように進まない局面もあったが、様々な議論を重ねながら一定の成果を収めることができた。その一つがザ・コンシューマー・グッズ・フォーラムとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンで取り組む「夏休み 子どもの食 応援ボックス」といえる。
 コロナ下は家庭に及ぼす経済をも直撃した。その影響を受け厳しい状況下に置かれた子育て世帯を応援したいという想いがあった。その一方で「まだ食べられる」食品が廃棄されている現状も大きな社会課題として捉えていた。まだ食べられる食品を有効に活用することは出来ないか。想いが合致した複数団体・企業との協業によりこの取り組みを開始した。有事の際はお互いの強みを生かし、事業を通じて地域社会に貢献する。その志を共にする企業が一社ではなく、サプライチェーン上で様々に協業できたところに大きな意味があると話す。

三宅 香 氏三宅 香 氏

子どもたちの「生きる」、「育つ」、「守られる」の権利を実現

 第一部の最後に公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 事務局長 三好 集氏が今回の活動内容とその趣旨について次のように話した。
 セーブ・ザ・チルドレンは今から102年前、第1次世界大戦が終わった翌年、世界が荒廃し、今と同じようにスペイン風邪が猛威を振るっていた1919年に敵味方の区別なく、栄養不良の子どもたちを支援するために誕生した国際NGOとなる。
 2020年に始まった新型コロナウイルスは、外出自粛による親からの虐待など子どもたちに今まで経験したことのない負の影響を与えた。
 また経済的に困窮する家庭が増える中、その影響は直接子どもたちに及び、三度の食事どころか、1日1回の食事もままならず水を飲んで飢えをしのいでいる子どもたちが日本にいる。そういった中でセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは昨年度「食の応援ボックス」をスタートし、2,500世帯に配布することができた。しかし食べ盛りの子どもたちが十分に食事を取ることができない状況は今も変わっていない。特に学校が休みとなる時期は顕著となる。
 この状況を乗り越えようと我々のパートナー企業であるイオンを通じて今回の協働支援が実現した。子どもたちの「生きる」、「育つ」、「守られる」という権利の実現のために我々と想いを同じくする企業の皆さまと共に様々な形でのパートナーシップを広げていく。
 今回の活動も実際はコロナ下の緊急支援といった形で行われているが、日本の子ども7人に1人は貧困状態であり、この活動が持続的に続けられることを願っている。

多くの企業が「夏休み 子どもの食 応援ボックス」に参加

 第二部ではセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 国内事業部長 川上 園子氏が本取り組みの背景や、昨年コロナ下で実施した緊急子ども支援やそこから見えてきた子どもの貧困の状況にも触れた。
 参加企業を代表してエスビー食品株式会社、株式会社ニチレイフーズ、ひかり味噌株式会社からのメッセージ動画を上映し、概要説明会を終えた。

 新型コロナウイルス感染症の影響で貧困になった家庭の子どもたちに食の支援をしていく「夏休み 子どもの食 応援ボックス」。その夏の体験の中で子どもたちは、人と人とが支え合う仕組みの大切さを実感するにちがいない。そして成人したときには、そういった仕組みのよき理解者となってくれるのではないだろうか。その意味で今回の取り組みは、食育としての価値もあるように考えられる。