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気候変動へのより強力な取り組みが求められるエコ・ファースト企業

エコ・ファースト企業の環境技術が凝縮した
「技術センターSOU」
佐藤工業株式会社

 温室効果ガスの排出抑制や廃棄物の削減、そして生態系多様性の保全や環境学習・環境教育の推進と環境コミュニケーションの向上まで5つの項目を骨子にした『エコ・ファーストの約束』に基づき、環境先進企業としての地球環境保全の取組みを推進する佐藤工業株式会社。
 ここでは創業160周年の記念事業の一環として、茨城県つくば市で建築中の「技術センターSOU」を中心にインタビューを行い、同社の環境技術が凝縮した特長などを伺った。

エコ・ファーストの約束PDFを表示


●オンラインインタビューに登場いただいた方
建築事業本部 副本部長 坪田 修一 氏

「想う、創る、寄り添う」イノベーション創出の拠点

――「技術センターSOU」の基本的なコンセプトは何でしょうか。
坪田:当社は来年7月に創業160年を迎えます。その記念事業の一環として、つくば市に技術センターを造ることになっております。建物名称は「技術センターSOU」で、来年1月竣工を目標に現在施工中です。
この技術センターは実験棟、音響実験棟、センター棟、テストフィールドからなり、社内にある事業支援、技術・工務支援、技術研究所の部署を集約し、土木と建築が一体となった強みを活かすイノベーション創出の拠点をコンセプトとしております。
 ネーミングの「SOU」はそのコンセプトを反映し、イノベーションの創出、豊かな未来の創造、創意に満ちた挑戦、人や社会を想う技術、現場に寄り添う技術といった様々なSOUを表現しています。

――設計にあたって重視した点を教えてください。
坪田:「技術センターSOU」のセンター棟(RC造3階、延面積3110㎡)は、BELS(ベルス・建築物省エネルギー性能表示制度)で「Nearly ZEB」(ニアリー・ゼブ)の認証を受けています。また「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)でもSランクを取得しております。
 今回、この技術センターの設計で重視した点については4つあります。まずは、建物の構造や材料などの工夫によって熱や空気の流れを制御し、快適な室内環境をつくり出す「パッシブデザイン」を前提として計画をしたという点、次に、省エネと快適性のバランスです。さらに、システム面で力を入れたのは躯体蓄熱式の放射冷暖房システム(以下TABS:タブス)です。また、「技術的には省エネ性は確かでありながら効果などが未評価の技術」も積極的に採用することを敢えて重視しました。

技術センターSOU技術センターSOU

省エネ性と快適性やデザイン性との調和をめざす

――重視した4点は実際にどのようなメリットをもたらしますか。
坪田:「技術センターSOU」は、パッシブ設計による建築的な工夫で自然エネルギーを活用し、CO2排出の削減と省エネを図っていますが、「ZEB=快適性を我慢する」といった視点ではなく、利用者の健康性や快適性、知的生産性の向上に配慮しつつも意匠的なデザインにもこだわり、吹き抜けや窓の大きさなども最善なバランスを狙った設計を行っています。
 今回採用した「TABS」というシステムは、躯体を外断熱にて包んで蓄熱させ、輻射熱を利用して空調するという仕組みで、夜間に地中熱を利用して蓄熱させ、執務時間は躯体からの輻射熱で空調します。簡単に言えば、クーラーボックスの中に躯体という保冷剤を入れてその中で執務をするイメージになりますが、ここでも省エネと快適性を両立させています。
 また「技術センターSOU」ではCO2の濃度制御や自然換気システム、床染み出し空調などについて未評価技術を多く採用しています。それらの技術は、省エネへ寄与することが明確であっても効果を数値化できていません。しかし、費用対効果がわからないからといって採用しなければ技術競争力に欠けると考えています。敢えて未評価技術を多く採用し、実証実験によって効果を数値化することをめざしていきます。
 省エネ以外では、仕事の内容によって働く場所を自由に選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を採用しています。現在、利用者の健康性・快適性などを評価するCASBEE-ウェルネスオフィスを申請し審査中ですが、Sランクが取得できれば先のCASBEEと合わせてCASBEE-スマートウェルネスオフィスを称せる技術センターになると期待しております。

  • 地中熱利用の採熱管(ダブルUチューブ)挿入地中熱利用の採熱管(ダブルUチューブ)挿入
  • 躯体に蓄熱させるTABS用配管敷設躯体に蓄熱させるTABS用配管敷設

アフターコロナでますます役割が高まる技術センター

坪田:現在、多くの建築物が地球環境への配慮とアフターコロナへの視点を持ち始め、今までと違ったオフィスのニーズが様々に生まれてきていると思います。それらに共通するのは、環境性能に優れた建物であると同時に、高い快適性や健康維持など人への優しさであると考えられています。この技術センターで開発された技術やデータの蓄積は、それらのニーズに十分に応えられるものになると思っています。
 冒頭で紹介したように「SOU」のネーミングには「創」と「想」、そして寄り「添う」の3文字が当てはまります。「創」はここまで説明してきた技術面が当てはまります。しかし、それだけに留まらず、「技術センターSOU」には事業だけではなく、地球温暖化を見据えて人や世界全体が持続していくためのSDGsに直結する「想い」が注がれています。
 この施設は土木設計などが合流し、最終的には100人を超えるスタッフが利用することになります。従業員が被験者となって居住性を体感することにより、省エネチューニングや設計上の改善点が迅速にフィードバックできると思っています。
 数多くの現場に寄り添いながら社員を支援し、社会に価値ある成果を提供していく意味も込めて「添う」という言葉も「SOU」に織り込まれているのです。アフターコロナ時代、これらの「創」と「想」、そして寄り「添う」が融合する「技術センターSOU」の役割は、ますます高まるものと期待しています。またエコ・ファースト企業である佐藤工業の責任も、いよいよ重くなると感じています。

インタビューページへのリンク

●佐藤工業株式会社

●株式会社島津製作所

●大東建託株式会社

●株式会社ネクシィーズグループ

●楽天株式会社